Asaphus broeggeri / アサフス ブレッゲリ (ブロエッゲリ)
ロシア産三葉虫を代表するAsaphus (アサフス)には20種以上の種類がおりますが、このAsaphus broeggeri (アサフス ブレッゲリ)は、多くのAsaphus (アサフス)が産出する層であるAsery Level/層やそれより一段古いKunda Level/層よりもさらに一段下の、Volkhov Level/層から産出します。このVolkhov Level/層からは、Asaphus lepidurus (アサフス レピデュルス)も産出しますが、このAsaphus broeggeri (アサフス ブレッゲリ)はそれよりも下から産出するため、これらのたくさんのAsaphus (アサフス)の祖先と考えられています。単純な体で眼も大きくなく、体の大きさも6cm周辺程度で、その後様々に進化するたくさんのAsaphus (アサフス)に比べて古い時代の種類であることが体の特徴からもよく分かります。
なお、前述の通り、このAsaphus broeggeri (アサフス ブレッゲリ)が産出する古い地層は、他のAsaphus (アサフス)が産出する層に比べて採掘できる場所が少なく、それ故に市場に出てくる数も非常に限られ、Asaphus (アサフス)の中では、最も目にする機会が少ない種類の一つとなっています。このAsaphus broeggeri (アサフス ブレッゲリ)の標本は、その乳白色がかった薄い茶色の三葉虫本体の色や、黄色と赤色がかった斑模様の母岩の色の様子から、他の地層のものとは明らかに違うことが良く分かるのも興味深いところです。