Asaphus fennicus / アサフス フェンニクス
2016年シーズンより、これまで採掘していた層よりも数段時代が新しいKukruse層をターゲットにした採掘が長期間行われるようになりました。Kukruse層 (CII)は、古い順にAsery層 (CIa)、Lasnamagi (CIb)、Uhaku層 (CIc)に続くこの地域のオルドビス紀後期の地層で、サンクトペテルブルグ西のエストニアとの国境に近いKingisepp (キンギセップ)近郊に主な採掘場所があります。これまでロシア・オルドビス紀三葉虫を多数生み出しているサンクトペテルブルグ周辺の採掘層とは時代を隔てているため、このKukruse層からはこれまで得ることのできなかった種類が産出するものの、基本的に完体の三葉虫を得ること自体が大変困難な環境であり、またサイズもほとんどが1-2cm程度の大きさと、これまでのロシア・オルドビス紀三葉虫のイメージには当てはめることのできないものとなっています。
全く新しく目にするAsaphus fennicus (アサフス フェンニクス)という名前ですが、存在自体は既に1907年に論文発表されており、この地域の全体的な分類見直しの際にもそのまましっかりと残っている種類です。この層からの他の三葉虫と同様、非常に産出が少ない上、商業的にもまだまだ試しの段階の域のため、今後の採掘の成果と学術的な兼ね合いが待たれる種類の一つです。