Geragnostus / ゲラグノストゥス
Geragnostus (ゲラグノストゥス)は、Agnostida (アグノストゥス目)、Agnostina (アグノストゥス亜目)、Metagnostidae (メタグノストゥス科)に属する三葉虫です。もっともこのAgnostida (アグノストゥス目)は、一般的に三葉虫と認識されている構造とは大きく異なり、眼もなくどちらが頭部と尾部かも分からないような上下対称のようなの構造を持ち、しかもスウェーデンからの特殊な保存状態の標本から、軟体部も含めた体の詳細構造も分かっているにも関わらず、今だに三葉虫に属するべきか否かという議論がなくなりません。このAgnostida (アグノストゥス目)は、米ユタ州や北欧など世界各地のカンブリア紀の地層から非常に多く産出しますが、そのほとんどがカンブリア紀末にはいなくなってしまい、このページで扱っていますオルドビス紀の地層から産出したものは、非常に数が限られています。その後、このAgnostida (アグノストゥス目)のすべての種類は、オルドビス紀が終わると同時に、地球上から完全に姿を消すこととなります。
ロシア・オルドビス紀からのAgnostida (アグノストゥス目)は、Geragnostus ingricus (ゲラグノストゥス イングリクス)が唯一の記載種です。F.Schmidt博士が19世紀末に報告した時点では、Agnostus glabratusという名前が使われていましたが、近年の見直しでこのGeragnostus ingricus (ゲラグノストゥス イングリクス)という名前となり、最近は商業的にも使われるようになりました。オルドビス紀のAgnostida (アグノストゥス目)は世界中でも数が少なく、ここロシアでもこれまでに産出した数は他の三葉虫に比べて圧倒的に少なく、大変稀少な種類となっています。