北米産 アノマロカリス / Anomalocaris
Anomalocaris (アノマロカリス)は、古生代カンブリア紀の前期から中期 (約5.3億-5億年前)に生息していた、カンブリア紀最大の捕食者と言われている生物です。体長は通常数十cmから1m、時に2mの大きさがあったと考えられる部分化石も見つかっています。外骨格に覆われたエビのような姿をした体に、発達した複眼を持つ頭部、その前方には最大の特徴である一対の長い触手を有しています。この形態から、また三葉虫に残された歯形の形状が一致することから、硬い殻で覆われた生物を補食すると考えられてきましたが、最近の研究ではそれは大型の種類に限られ、多くの種類では軟体動物が主食であったと考えられています。19世紀末に最初に発見されたアノマロカリスであるバージェス頁岩からのもの (A.canadensis)、またそれから1世紀経った澄江からの2種類 (A.saron, Amplectobelua symbrachiata)がこれまでに見つかった完体個体の化石で、それ以外にもアメリカ、オーストラリア、グリーンランドなど世界中の幅広い地域から化石が産出します。
北米からは、カナダ・バージェス頁岩からのAnomalocaris canadensis (アノマロカリス カナデンシス/カンブリア紀中期)が最も有名であり、この種こそが一般的に認識されているアノマロカリスの種類です。既に20世紀初頭にはウォルコット博士によりその部位が発見されており、20世紀後半になると体長1mという全体像が分かりました。 また北米からはそれ以外にも、米ペンシルバニア州Kinzers層からのA.pennsylvanica (カンブリア紀前期)は種まで記載、またバージェス動物群と同様の生物の化石が産出する地層である、米ユタ州Weeks層 (カンブリア紀中期)、米ネバダ州Pioche層 (カンブリア紀前期-中期)などからも、アノマロカリスのものと考えられる部位化石が産出します。