Asaphus nieszkowskii / アサフス ニエズコウスキイ
2016年シーズンより、これまで採掘していた層よりも数段時代が新しいKukruse層をターゲットにした採掘が長期間行われるようになりました。Kukruse層 (CII)は、古い順にAsery層 (CIa)、Lasnamagi (CIb)、Uhaku層 (CIc)に続くこの地域のオルドビス紀後期の地層で、サンクトペテルブルグ西のエストニアとの国境に近いKingisepp (キンギセップ)近郊に主な採掘場所があります。これまでロシア・オルドビス紀三葉虫を多数生み出しているサンクトペテルブルグ周辺の採掘層とは時代を隔てているため、このKukruse層からはこれまで得ることのできなかった種類が産出するものの、基本的に完体の三葉虫を得ること自体が大変困難な環境であり、またサイズもほとんどが1-2cm程度の大きさと、これまでのロシア・オルドビス紀三葉虫のイメージには当てはめることのできないものとなっています。
Asaphus nieszkowskii (アサフス ニエズコウスキイ)は、F.Schmidt博士が当初から提唱していた種類で、数々の見直しがされた現在でも一定の有効性が認められています。Llandeilian後期からCaradocian前期にかけて産出されるとされており、そのためにAsery層からこのKukruse層辺りまで広くこの種名が使用される理由となっています。Kukruse層に関する最新の学術記事においてもこの種名が使用されており、供給元ならびにこのサイトでも今回この種名を使用しておりますが、実際には層準によりサイズ等大きな違いがあり、このKukruse層からのものは1-2cmというサイズのため、将来的には新しい種名が提唱される可能性もあるかもしれません。