トップページ > 参考文献

三葉虫および古生物学に関する参考文献

ここでは三葉虫、およびそれに関連する生物について、より深い理解を求める方のために、代表的な本や図鑑を中心に紹介致します。

このページで紹介しております全ての本や図鑑は、非常に多く出版されているものの中から厳選したもので、全て当店でも保有し、日々参考文献として利用頻度が高いものを特に掲載致しました。皆様のご参考となれば幸いです。

The Trilobite Book: A Visual Journey The Trilobite Book
Riccardo Levi-Setti 著
The University of Chicago Press, 2014年
定価: US$45.00
三葉虫図鑑として最も初期に発行され、世界中の愛好家に親しまれている同著者の"Trilobite"(下記参考)、これはその全面改訂最新作です。今回の最大の売りは全面カラーとなった点です。前作同様、核物理学者として有名な彼の"趣味"として実際に彼が採掘に行った産地のものが少々多めに掲載されているものの、モロッコ, 北米, イギリス, ロシアなどの代表的な産地の三葉虫が十分に網羅されています。なぜか疑惑のロシア産棘々複眼ホプロリカスが掲載され解説までついているという、我々にとっては困惑する場面はあるものの、全体に渡って最新の学名引用、詳細な産地情報、またツーソンショーで販売されていた標本の写真まで掲載されており、最近世界中で発行されてつつある三葉虫写真集の中では一二を争う出来となっています。全文英語ながら全体がカラー写真で占められているため、気軽に開ける一冊です。
古生物学事典 第2版 古生物学事典
日本古生物学会編
朝倉書店, 2010年
定価: ¥1,5000 (税抜)
日本古生物学会により1991年に刊行されたものに、最新の研究結果を加えて2010年に改訂されたものです。第一線の学者・研究者による的確な情報を、事典形式としてまとめられています。そのため、この分野の専門家の照会に耐えうることはもちろんのこと、一般の古生物愛好家にも非常に分かりやすく、ただ記述を読んでいるだけでも十分に楽しめます。英語やドイツ語を中心とした海外の文献が非常に多い中、適切な日本語の専門用語によって内容を把握できるため、参考文献としても重用すべき一冊です。
世界の三葉虫 世界の三葉虫
近藤典生、吉田彰著 / 財団法人進化生物学研究所
信山社, 1996年
定価: ¥2,625
日本で出版されている三葉虫のみが掲載された図鑑です。出版当時は三葉虫に関する本が皆無だったため、特に多くの標本の写真は大変貴重な情報源でした。なかなかこれに代わる一般向け書物がない現在の状況においても、学術専門的な観点からの三葉虫の基本的な知識の日本語での説明、部位や種類の学術専門英語の日本語訳など、引き続き非常に有用な参考文献としての役割を果たしています。もちろん100を超える世界中の三葉虫標本の写真は、特に三葉虫入門者にとっては楽しめる一冊です。
三葉虫の謎 -「進化の目撃者」の驚くべき生態 三葉虫の謎
リチャード フォーティー著 垂水 雄二 翻訳
早川書房
定価: 2,520
三葉虫研究の世界的権威Richard Forty博士の原著"Trilobite! Eyewitness to Evolution"の日本語訳版です。専門家であるが故に細部にわたる解説を分かりやすく述べられており、この一冊で三葉虫全般に関する広い知識がつきます、加えて、著者の体験談や進化に関する議論など多くの話題が含まれており、古生物学にとどまらない広い視点での話の展開は、読み物としてもかなり内容が濃い一冊です。
TRILOBITES Trilobites
Riccardo Levi-setti
The University of Chicago Press
定価: $38.00
大変美しい三葉虫の写真が200以上掲載されている、代表的な三葉虫に関する本/写真集です。全編英語ですが、本全体がほぼ写真であるため、英語を読まなくとも理解できるかと思います。特に想像を絶するような体をもつ種類や、まるでフナムシやダンゴムシのように通常では保存されない軟体部までもが残る三葉虫の標本写真には本当に驚かされます。この本の著者は核物理学者ながら、三葉虫の複眼の仕組みを解明したことで有名な三葉虫研究家で、その論文の内容も巻頭に詳しく説明されています。
Treatise on Invertebrate Paleontology= Part O Arthropoda 1 Trilobita Treatise
Roger L. Kaesler編
Geological Society of America / University of Kansas
定価: $75.00
三葉虫全種を掲載するバイブル的専門書です。全編に渡って記述は英語ですが、種の同定の上で欠かすことのできないタイプ標本の写真、および解説がすべての個別種に渡って掲載されています。現在、約50年前に出されたものの改訂作業が進んでおり、これはそのうちの最初の1冊目です。この号では、三葉虫全般の概要および形態など一般的な記述、およびAgnostida(アグノスタス目)とRedlichiida(レドリキア目)についての個別の種の記述がされています。(それ以降はまだ出版されていません。) ※改訂版ISBN:0813731151
Treatise on Invertebrate Paleontology Treatise
Raymond C. Moore編
Geological Society of America / University of Kansas
上記のシリーズには、他にもたくさんの生物について出版/随時改訂が行われております。→特集のページへ
The Rise of Animals
Evolution and Diversification of the Kingdom Animalia
The Rise of Animals
M.A.Fedonkin,J.G.Gehling,K.Grey,G.M.Narbonne,P.Vickers-Rich著
The Johns Hopkins University Press, 2008年
定価: $75.00
エディアカラ生物群の図鑑の決定版です。 世界中のエディアカラ化石の個々の産地について、すべての産地の場所や地層の詳細はもちろんのこと、その産地が先カンブリア紀のものと判明するまでの数々の研究の経過やストーリー、その産地から産出する化石のリストとその生物についての考察など、この一冊さえあれば、エディアカラ生物群についてのすべてが把握できるという驚くべき文献/図鑑です。全文英語ではありますが、一冊すべてがフルカラーの図や写真で埋め尽くされ、眺めているだけでも興味が尽きない一冊です。また巻末にはこれまでに論文発表されているエディアカラ生物群のすべての種の記述が、写真(しかもそのほとんどが模式標本のもの)とともに掲載されており、当店で販売しておりますエディアカラ生物群化石の標本の実物を見る際の参照文献としても、利用頻度が高いかと思います。
バージェス頁岩 化石図譜 (日本語翻訳版) バージェス頁岩
Derek E. G. Briggs, Douglas H. Erwin, Frederick J. Collier著
朝倉書店
定価: ¥5,670
現在生息している動物達とは似ても似つかないような奇妙な形態をもった生物である、バージェス頁岩動物群をとりあげた図鑑です。ご存知の通り、この地域の標本は通常では保存されることのない軟体部が残されているため、古生物学の分野では大変貴重な産地です。それにしても今から5億年前という昔に、このような多様で複雑な体をもった生物が実際に生息していたのかと驚くばかりです。実際の化石の写真とそれを基にした復元図とともに解説がつくという、非常に分かりやすい構成の図鑑です。
The Cambrian Fossils of Chengjiang, China Fossils of Chengjiang
Hou Xian-Guang, Richard J. Aldridge, Jan Bergstrom, David J. Siveter, Derek J. Siveter, Feng Xiang-Hong 著
Blackwell Publishing
定価: $54.99
カナダ・バージェス頁岩動物とともにカンブリア生物大爆発の最も重要な研究対象である、中国澄江(チェンジャン)動物群の図鑑です。上記のバージェス頁岩動物群の図鑑と同様に非常に見やすい構成で、細かい英文を読まなくともこの地域の特殊な標本の様子を一目で感じることができる美しい図鑑となっています。
Fossil Crinoids Fossil Crinoids
H. Hess, W. I. Ausich, C. E. Brett, M. J. Simms
Cambridge University Press
定価: $80.00
三葉虫が生息していた海に一緒に生息していた生物であるウミユリの図鑑です。この本はウミユリの生態などの基本的な記述、およびウミユリが産出する代表的産地についての半専門的な記述(地層やそこから産出する種の記述など)がなされています。全編英語です。
TRILOBITE OF NEW YORK Trilobites of New York
Thomas E.Whiteley, Gerald J.Kloc, and Carlton E.Brett
Cornell University Press
定価: $62.95
アメリカ・ニューヨーク州というひとつの地域から産出する三葉虫に着目した専門書的な図鑑。この地域の地層や三葉虫の形態についての記述はもちろん、175ものプレート写真を眺めるだけでも十分といえる一冊です。
TRILOBITES of BLACK CAT MOUNTAIN Trilobites of Black Cat Mountain
Geroge P. Hansen
iUniverse, Inc.
定価: $25.95
モロッコ産デボン紀三葉虫と同じような種類が、ロシア産三葉虫のような品質で産出することで世界的に有名な産地、米オクラホマ州のBlack Cat Mountainからの三葉虫を扱った本です。この本では、特に世界で最も有名なクリーニング技師のBob Carroll氏がクリーニングした標本を中心に掲載され、全文英文ながら図鑑的な使い方はもちろんのこと、PaciphacopsとKainopsの違いや、Huntoniaの他の産地(モロッコ産Odontochileも含む)との比較など、なかなか手に入らないHaragan Formation(ハラガン層)などこの産地の専門的な文献を探し求める必要ももうありません。また、この地より産出する三葉虫以外の化石も掲載、他にBob Carroll氏のクリーニング方法を詳細に記述したページもあり、一般的な三葉虫/化石標本の理解を深める上でも欠かせない一冊です。
The fossils of the Hunsruck Shale
Marine Life in the Devonian
The fossils of the Hunsruck Shale
Christoph. Bartels, Derek E.G. Briggs, Gunther Brassel
Cambridge Paleobiology Series 3
定価: $43.00
1998年に出版されたものがようやくリプリントされました。この図鑑は、真っ黒い母岩に同じ色の化石が入っているドイツのブンデンバッハ・フンスリュック頁岩の化石についての本/図鑑です。特に、三葉虫コレクターの皆さんには、触角や脚などの軟体部が残るAsteropyge(アステロピゲ)やChotecops(コテコプス)が産出することでご存知の方も多いかと思います。これらの化石は、当店で販売しておりますオルドビス紀のNY産脚付き三葉虫からさらに数千万年経ったデボン紀のもので、その違いも興味深いところです。他にも数多くのウミユリやヒトデ、さらにはバージェス頁岩動物との関連が指摘されている生物など、詳しい説明はもちろんのこと、埋もれている軟体部を見るためのX線写真などの写真が多く掲載されているために眺めているだけで時間が経ってしまう一冊です。
標本学 自然史標本の収集と管理 標本学
松浦 啓一 編著 国立科学博物館叢書
東海大学出版会
定価: ¥2,940
国立科学博物館を始めとする全国屈指の博物館員/研究者が全面的に執筆したシリーズの一冊。まさに化石標本のコレクターには待望の一冊かと思います。科学/学術的に重要な標本とするための確実な情報が満載されており、産地等の情報の管理や標本の作製方法、さらには保管方法の注意点に至るまで、専門家ならではの記述が何より参考になります。
古生物百科事典 古生物百科事典
Rodney Steel and Anthony P. Harvey 編集、小畠郁生 監訳
朝倉書店
定価: ¥9,975
三葉虫から恐竜などほとんどの古生物を含めた古生物学全般についての用語集です。古生物に興味のある一般の方から、専門家にも耐えうる内容となっています。特に、日本語と外国語索引の両方から検索できるために、辞書としても利用できることが何より有用かと思います。
ホルツ博士の最新恐竜事典 恐竜事典
トーマス R.ホルツ Jr.著、小畠郁生 監訳
朝倉書店, 2010年
定価: ¥1,2000 (税抜)
"事典"という名前がついているものの、実際は恐竜展の解説パネルのように、各トピックについて解説をするという形式となっています。もちろんそれは分類別に進行しており、それとは別にすべての恐竜の属リストも80ページ、加えて簡単な用語解説や索引もあります。全体に渡って丁寧に日本語に訳されており、特に従来から使用され馴染んでいる日本語の専門用語および学名を使用しているため、それだけでも十分に参考文献として実用になる一冊です。
NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 NATIONAL GEOGRAPHIC
日経ナショナル ジオグラフィック社
2005年 05月号
定価: ¥980
こちらも最新の科学の話題を提供し続けている米雑誌の日本語版です。この号では"化石ビジネスの最前線"と題されて、近年大規模になりつつある化石市場の表裏を取材しています。特に三葉虫をお集めになられている方にとりましては、数多くの標本が市場に流れているモロッコ産カンブリア紀三葉虫の採掘にまつわる写真や、そこで集められた標本の様子が掲載されていることが、最も興味深い点でしょうか。
別冊Newton「生命」とは何かいかに進化してきたのか 別冊Newton
ニュートンプレス
2007年8月発行
定価: ¥2,415
最先端の科学事項を非常に分かりやすくまとめられていることで定評のある別冊ニュートンに、進化を扱った号が出版されました! 特に最近では非常に珍しく三葉虫の標本が多数紹介されており、国立科学博物館の収蔵標本がカラーで掲載されております。他にも、当店でも扱っておりますエディアカラ生物群化石から、バージェス頁岩動物、中国澄江(チェンジャン)動物群などのいわゆるカンブリア生物の大爆発の前後のテーマもかなり分かりやすく詳細にまとまっております。他にも三葉虫の多様性や当時の大陸の状況との関連、もちろんその後の恐竜やほ乳類の誕生に至るまで、DNAなどの最新の研究結果も含めて解説されている、本当に情報満載の驚くべき一冊です。
Composition of Scientific Words Scientific Words
Roland Wilbur Brown著
Smithsonian Books
定価: $27.95
学名を付けるに当たっての必要な情報が記された専門家のための辞書です。我々一般の人々にとっては、学名に含まれている様々な単語の意味を知るための辞書として利用することができるため、学名からさらなる知識を得たい場合に重用する一冊です。
Ichnology of New England
Edward Hitchcock
Michigan Historical Reprint Series
定価: $23.99
北米で最も有名な恐竜の足跡の産地、マサチューセッツ州のConnecticut Valley (コネチカット渓谷)からの足跡について、1858年にE.Hitchcock (エドワードヒッチコック)が発表した研究論文です。この論文は、北米で最初の恐竜の足跡に関する詳細な報告として古生物学の歴史に重要な役割を果たしたことで有名です。もっとも、今から150年前の時代には、巨大な足跡が恐竜のものという認識は全くなく、この論文でも大きな鳥の足跡として記述されておりますが、記述自体は非常に詳細であり、基本的にこの産地からの足跡はほぼすべてがこの論文によって登録されておりますので、この産地の足跡の同定にも有用な論文です。但し、このリプリントされたこのシリーズでは、オリジナルに収録されていた原寸大の足跡の図がすべて省かれてしまっているのが、何より残念です。

→ P.2 "Treatise"特集のページはこちらへ