ノルウェー産 エディアカラ生物群化石
エディアカラ生物群は、地球上に現れた最古の多細胞生物とされ、植物とも動物とも区別がつかないとされる軟らかい体をもったの生物です。先カンブリア紀のエディアカラ紀 (約5億6500万年前〜5億4300万年前) に繁栄し、生物の爆発的進化とされる古生代カンブリア紀のカナダのバージェス頁岩動物群や中国チェンジャン(澄江)動物群よりも2000万年以上も前に登場しました。
この生物群は、同心円状や左右対称, 葉状で平らという、自然界で最も単純な形態であることが大きな特徴です。特にこのページにあるような標本のように、その多くが化石部分が凹んでいるネガ(凹型)であることを見ますと、多くは現在のクシクラゲのような軟らかい体を持っていた生物と考えられています。ただ、このような標本にはそのような化石と同時に、何かが這ったような跡や細い線のような痕跡も同時に観察でき、その一部は現在の軟体動物のように活発に動き回っていたことも想像できます。しかしながら、今のところ現在の生物系統につながる手がかりはまだはっきりせず、生物の進化を考える上でも今後の研究の大きな対象となっている化石群です。
ノルウェーの最北部・フィンマルク県の北東部の、カンブリア紀直前のエディアカラ紀/ヴェンド紀後期の地層からは、主にCyclomedusa (キクロメドゥサ)やEdiacaria (エディアカリア)に代表される円盤状の生物の化石が産出します。しかしながらこれらの生物の構造はオーストラリア・エディアカラ丘陵からのものと差異があり、また隣接するロシア白海地域を含むこの時代の他の地域との相関等についても、今後の研究が待たれます。