Batrachopus / バトラコプス
Batrachopus (バトラコプス)は5cmほどの小さな足跡で、前脚と後脚が同時についたと思われる対の形で見つかります。残念ながらこの足跡の主の骨格化石は、この産地では見つかっておらず詳細は不明ですが、その大きさや歩いた形跡から、おそらく恐竜が2つの大きな種類/Ornithischians (鳥盤類)とSaurischians (竜盤類) に分かれた三畳紀後期に、同じ系統から分かれたCrocodiles (ワニ類)の足跡ではと考えられています。従って、その推測に基づきますと、この足跡は厳密には恐竜の足跡ということにはなりませんが、ジュラ紀前期という時代は、Crocodiles (ワニ類)がまだ恐竜から分かれたばかりの頃ですので、この足跡もここに入れさせて頂きました。
この足跡も、たくさんの恐竜の足跡が産出することで有名な、米北東部マサチューセッツ州のConnecticut Valley (コネチカット渓谷)の中の、中生代ジュラ紀前期(約2億年前)のPortland Formation (ポートランド層)から産出したものです。この産地は、1858年にE.Hitchcock (エドワード ヒッチコック)が行った、北米で最初の恐竜の足跡に関する詳細な報告の対象となった場所として有名です。もっとも、当時はそれが恐竜の足跡ではなく、大型の鳥類の足跡として報告されていましたが、現在でも彼の報告した足跡の種の多くがそのまま学術的な基準として使われています。