恐竜足跡化石(北米産)
恐竜の足跡化石は、生きているときにつけられた足跡が土砂など何らかの理由によりそのままの状態で埋まり化石となったものです。そのような足跡化石は世界中から様々な種類のものが発見されていますが、同時に復元可能な状態の良い恐竜の骨格化石が一緒に発見されることが極めて稀であり、足跡化石と恐竜の骨格化石を直接結びつけることは非常に困難です。なお、これら足跡化石など痕跡化石にも恐竜や三葉虫などの生体化石と同じように学名がつけられますが、それらはその痕跡の形や特徴に対して付けられた学名であって、決して足跡をつけたと考えられる恐竜自体の名前ではありません。
足跡化石においてはポジネガ型(凹凸型/雄雌型)の概念は通常の生体化石とは逆で、恐竜が直接踏んだ跡がネガ型であり、そのネガ型に土砂が入り込んでできたキャスト(ネガ型の印象化石)がポジ型です。科学的には両者はほぼ同価値とされていますが、商業的にみると明らかにネガ型の方が高値で取引されています。これは採掘者が自身のコレクションとして手元に保管するのはネガ型で、必要ないポジ型は売りに出すのが通常のためです。そのため市場にはポジ型の方が多く出回ることとなり、特に珍しい種類のものやサイズが大きいものなどはその傾向はより強くなります。
また、深さがあるネガ型プレートを水平方向にさらに薄く割ると、直接踏んだ足跡以外にも複数のネガ型標本が採取できます(直接踏んだネガ型の反対のポジ型がさらに反対側に付けたネガ型という見方もできます)。そのため、直接恐竜が踏んだと考えられる明確なネガ型に需要が集まることは自然な流れで、結果としてそのようなタイプのものが価格が最も高くなる傾向になります。
なお、商業的に出回る標本の中には、足跡部分に塗料やニスで着色/ハイライト化されたものも少なくなく、実際には不鮮明であったりそれほど凹凸がないにも関わらず、一見したところコントラストがあって美しく見えるために注意が必要です。