レバノン産 カブトガニ化石
生きた化石として知られるカブトガニは、Arthropoda (節足動物)のChericerata (鋏角亜門)に分類されます。"カニ"という名前がついているものの、実際はクモやダニ、あるいは古生代に繁栄したウミサソリの仲間です。
カブトガニの化石は、その祖先がカンブリア紀に出現して以降、世界中の地層から産出しますが、比較的繁栄した生物の一つであるために実際は様々な種類のものが存在します。その中にあって、レバノン白亜紀後期の地層から産出するものは、今でも瀬戸内海や北九州の一部で見られる国内の現生カブトガニに最も近いことで知られています。実際、両者は同じカブトガニ科 (Limulidae)の中の同じカブトガニ属 (Tachypleus)に分類され、国内の現生のカブトガニがTachypleus tridentatus (タキプレウス トリデンタトゥス)、レバノンからの化石ものがTachypleus syriacus (タキプレウス シリアクス)と、約1億年の時を隔ててもなお二つは同じ属に分類される仲間です。なお、レバノンでのカブトガニ化石の産出数はかなり限られ、この地ではかなり希少な化石の一つとなっています。